「今回はバッグの写真がありません。なぜなら……お店で見送って、手ぶらで帰ってきたからです!」
踏みとどまった、ぽんこつです🐼
アメカジは楽しいけれど、本物の革やデニム、ヴィンテージは分からないことだらけ。
偽物や失敗にビビりながら、現場で汗をかきかき「見る目」を養っていく【ぽんこつ修行シリーズ】。
前回の「三の修行(ペンドルトンの古着シャツで穴と縮み疑惑)」から1週間……。
早くもやってまいりました、「四の修行」でございます!
ただ、今回の修行はいつもとちょっと違います。
買ってから「やっちまったー!」と頭を抱えたこれまでの修行とは違い、今回は「買う前にしっかり違和感に気づいて、自分の意志で見送ることができた」という、ぽんこつの成長(?)の記録です。
アメカジ服に似合う「一生モノの本革バッグ」が欲しくて
きっかけは、同窓会。
お気に入りのデニムに、レッドウィングのブーツ、ベルトはぽんこつベルト(栃木レザー)でいいかな、
「よし、いい感じ!」とご機嫌になったところで、ふと手が止まったんです。
「……あれ? バッグ、何を持てばいいんだっけ?」
もっとも、普段使っているナイロンや布のバッグはあるんです。
でも、足元に重厚な本革ブーツを合わせているのに、バッグだけ軽すぎる気がしてなんだかしっくりこない……。
せっかく服やブーツが育っていくなら、バッグも一緒に何年もかけて育てられる「本革の相棒」が欲しい!
そう思っていたときに出会ったのが、とある日本のレザーブランドで見かけた姫路レザー「モストロ」の2wayバッグでした。
姫路レザー「モストロ」
植物タンニンで鞣した牛革に、オイルをたっぷり染み込ませ、仕上げにワックス(ロウ)を職人さんが手作業で塗り込んだ革らしくて、新品のときは表面がさらっとした風合い。しかも、とてもやわらかい!
それが使い込むうちに手の油分や摩擦でロウが革に馴染み、息をのむようなツヤと深い色に「化ける(モストロ=イタリア語で化け物の意味らしいです)」んだとか……!
金具の付け替えなしでリュックにもショルダー(肩掛け)にもなる2wayデザインで、「まさに私が探していた理想の形!」と購入を決意。
他店から取り寄せてもらった「最後の1点(展示品)」
さっそく見かけたお店に買いに行ったのですが……なんと店頭にあったはずのバッグが消えていました。
どこいった?売り切れたのかな?
店員さんに尋ねてみたところ、「他の店舗に移動してしまったんです。最後の1点だけ残っています。ただ、店頭に出ていた『展示品』になりますが、それでもよろしければお取り寄せして状態を確認していただけますよ」とのこと。
前回のペンドルトンで「実物をちゃんと確認することの大切さ」を学びました。
「実物を見て、納得できたら買おう!」と思い、さっそく取り寄せていただくことにしました。
数日後、「店舗に届きました」との連絡を受けて、ウキウキでお店へ向かったのですが……。
対面の瞬間。ワクワクを止めた「紐の黒い二重線」
お店に到着して、いよいよバッグとご対面です。
色は明るめの綺麗なキャメル。形もサイズ感も想像通りで、パッと見は「やっぱり可愛い!」とテンションが上がりました。
ところが、リュックとしての背負い心地を確かめようと、紐を自分の背負える長さに調節した瞬間……。
「……ん? なんだこれ?」
紐の表面に、くっきりとした黒い二重線が現れたんです。
それは、リュックの紐を通している金属金具(バックルや送りカン)が強く当たっていた痕でした。
明るいキャメルの革の上に、まるで黒いペンで引いたかのような濃い線が2本、はっきりと付いていたんです。
「ここ、ちょっと黒い線がついちゃってますね……」と店員さんにお伝えしたところ、店員さんもブラシでシャカシャカ擦ってみたり、少しクリームを塗って馴染ませようとしてくれたのですが……。
全く消えないし、黒さも全く薄まらない。
店員さん曰く、「モストロはもともと痕や色がつきやすい革なんですよ」とのこと。
使い込んでいくうちに全体にツヤが出て色が濃くなっていくから、馴染んではきますよ、と説明してくれました。
ただ、変化後のサンプル(小さくカットされた革)と見比べてもこの黒さは馴染むようには思えませんでした。
「革の味」なのか、「展示品についた汚れ」なのか?
その場ですごく迷いました。
何日も待って、わざわざ他店から取り寄せてもらった最後の1点。これを逃したら、もう手に入らないかもしれない……。
でも、私の頭の中にはどうしても拭えないモヤモヤがありました。
「確かに革は使っていけば傷もつくし、金具のアタリも出る。でも……これ、私がつけた痕じゃないよね?」
見てください、この私のぽんこつベルト。
いつも使っている穴の周りがバックルでギュッと締め付けられて、くっきりと金具痕がついてツヤツヤに光っていますよね。
でも、これは全然いいんです。自分の使い込んだ痕(証)だから。

もし自分が何ヶ月も背負い込んで、自分の体の位置で金具が擦れてついた線なら、それは愛すべき「エイジング(経年変化)」です。
でも、あのバッグの黒い二重線がついていたのは、「お店で長いこと展示されていた展示品の位置」。
私がちょうどいい長さに紐を合わせると、その展示品の位置についていた黒い線が、はっきりと現れてしまうんです。
あとから調べてみると、革製品の金具周りにできる黒ずみは、金具との摩擦によって金属由来の汚れが付着したり、革そのものが変色したりすることで起こる場合があるそうです。
今回の黒い二重線も、まさに金具が当たっていた位置についていたもの。
原因までは特定できませんが、店員さんがブラシで擦っても、クリームを塗っても、全く薄くなりませんでした。
それに、取り寄せのときに「展示品なので状態を確認してからで大丈夫」と聞いて見に来たのに、当日の店員さんには状況がまったく引き継がれていなくて、「そうなんですか、何も聞いていないのでなんとも……」という反応。
背負ってみてもいいか聞いても紐を調節してくれる様子もなく、挙句の果てには「ここでは全然売れないので上野の方の店舗に集めていて……」なんてポロッと言われてしまって🙄
そんな空気の中でバッグを改めて見つめていると、なんだか革全体も長いことお手入れされずにカピカピに乾燥しているように見えてきてしまいました。
デザインが異なる新品の革と比べると、やっぱりカサついているように見える。
全く同じバッグもないから、「これがこの革の正解の状態なのか」も分からない……。
実は私、このお店が購入後も店頭でメンテナンスしてくれる革専門店だと知って、お店とのお付き合いをとても楽しみにしていたんです。
だから、黒い二重線についても、原因や今後のお手入れ方法を教えてもらえるんじゃないかと期待していました。
もし「この子、ちょっと痕がついてますけど、こうやって育ててあげてくださいね」なんて言われたら、喜んで連れて帰っていたかも(笑)。
だって、バッグ自体は本当に可愛かったんだもん。
買い物って、モノとの出会いだけじゃなくて、人とのご縁でもあるんですよね。
ペンドルトンの教訓。「納得できないなら、買わない」
お値段は約3万5千円。決して安い買い物ではありません。
以前の私なら、「せっかく取り寄せてもらったし、店員さんにも悪いし……まあ使っていけば馴染むのかな?」と、空気に流されて無理やり自分を納得させて買っていたかもしれません。
でも、頭をよぎったのは、前回の【三の修行】ペンドルトンの古着シャツでした。
「安いから」「憧れのブランドだから」と飛びついて、家に帰ってから穴や縮みに気づいて疑心暗鬼になったあの日。
あのとき私が心から学んだのは、本当に欲しいのは、モノそのものだけじゃなくて『買い物の安心感と納得感』なんだということ。
最初からこんなにモヤモヤを抱えて買ったら、出かけるたびにその黒い線が目に入って、「やっぱりあのとき見送ればよかったな……」って絶対に後悔する。
そう確信した私は、意を決して、店員さんに正直にお伝えしました。
「すごく可愛いんですけど……やっぱりこの黒い線がどうしても納得できないので、今回は見送らせてください。」
お店を出た瞬間、欲しかったバッグが手に入らなかった寂しさはほんの少しありましたが、流されずに、ちゃんと自分で決められた!ので気持ちはスッキリしました。
初心者が学んだ「展示品の革製品」を見極める3つのポイント
手ぶらで帰ることにはなりましたが、今回の体験も私にとって大きな「修行」になりました。
最後に、今回身をもって学んだ「展示品や最後の1点の革製品を買うときのチェックポイント」をまとめておきます!
1. 金具が当たる位置を動かして確認する
長期間同じ位置で展示されていると、金具の圧力で革が凹んでいたり、金具との摩擦による黒ずみや変色が残っていることがあります。紐やバックルを自分が使う位置に動かしてみて、気になる痕が残っていないか必ずチェック!
2. 革が乾燥してカピカピになっていないか見る
展示環境や保管状態によっては、革の状態が変化していることも。新品時の質感が分かるものと比較したり、店員さんに確認したりして、気になる乾燥や硬さがないかチェックしましょう。
3.「迷う理由が違和感なら、見送る」
よく「迷う理由が値段なら買え、買う理由が値段ならやめておけ」なんて言いますが、
今回の修行で、ぽんこつはもうひとつ学びました。
「迷う理由が違和感なら、納得できるまで買わない!」
革にはもともとの傷やシワもあるし、使い込めば新しい痕だってつきます。
でも、その違和感を「まあ、いいか」と無理やり飲み込んで買うのは、ちょっと違う気がするんです。
“妥協した”傷や汚れは、使い込んでも「愛着」には化けてくれません。
だって、せっかく長く付き合う相棒なんだもの。
最初の出会いから、ちゃんと好きでいたいじゃないですか!
私の「アメカジに似合う一生モノの革バッグ探し」の旅は、まだ始まったばかり。
妥協せず、心から「これだ!」と胸を張って連れて帰れる最高の相棒に出会えるまで、じっくり探してみようと思います!

