どうも、ユウヤマンです。
最近、アメカジ界隈や古着屋さんで 「大戦モデル」 という言葉をよく耳にしませんか? 各ブランドからも、当時のディテールを再現した大戦モデルの復刻ジーンズがたくさんリリースされていますよね。
僕も最近ジーンズについて色々と調べていく中で、「そもそも大戦モデルって何が違うの?」と気になっていました。
なんとなく「昔のすごいジーンズ」くらいに思っていたのですが、調べてみたら、そこには 「国からの命令で仕方なく作り方を変えた」 という、ジーンズの面白い歴史が詰まっていたんです。
今回は、初心者目線でざっくりと調べた「大戦モデル」の秘密についてシェアしたいと思います!
ちなみに大戦モデルは当時のアメリカ政府のルールなので、色々なブランドに存在します。ただ、アメカジ界隈で「大戦モデルの絶対的基準」として一番有名なのがリーバイス(S501XXなど)なので、今回はこの王道モデルのディテールを例に見ていきますね。
「大戦モデル」とは?国に怒られて生まれた妥協の産物
大戦モデルとは、名前の通り 第二次世界大戦中(1942年〜1946年頃) に作られたジーンズのことだそうです。
当時、アメリカ政府(戦時生産局というところ)から、すべての衣類メーカーに対して 「戦争で使うから、金属や糸、布を徹底的に節約しろ!」 という厳しいルール(物資統制)が出たんだとか。
つまり、ジーンズメーカーたちは「今まで通りのこだわりのジーンズが作れなくなってしまった」わけです。 国からの命令なので逆らうわけにもいかず、泣く泣くいろんなパーツを省略したり、安い部品で代用したりして作られたのが「大戦モデル」なんですね。
大戦モデルを象徴する、省略されたディテールたち
普通なら「質が落ちた不良品」と呼ばれそうなものですが、この 「制限された中で工夫して作った不完全なディテール」 こそが、今のアメカジ好きの心をくすぐるポイントになっているみたいです。
具体的にどんなところが節約されたのか、いくつか見てみましょう。
① ブランドロゴが消えた「月桂樹のドーナツボタン」
ジーンズのフロントボタンといえば、ブランドの名前が刻印されているのが普通ですよね。 しかし大戦中は、「ブランド専用のボタンをわざわざ作るな!既製品を使え!」と制限されてしまったそうです。

そこで使われたのが、真ん中に穴が空いて金属を節約した「ドーナツボタン」や、安い既製品であった「月桂樹(げっけいじゅ)柄のボタン」でした。「ブランドの主張ができない時代の名残」だと思うと、なんだか無骨で味がありますよね。
② 糸がもったいないから「ペンキで描いた」ステッチ
ジーンズの後ろポケットには、各ブランドの象徴となる飾りステッチ(リーバイスのアーキュエイトステッチなど)が入っています。 しかし、これも「ただの飾りに糸を使うな!」と禁止されてしまいました。
アイデンティティを奪われたブランドがどうしたかというと……なんと、「糸がダメなら、ペンキでステッチの絵を描こう」 という力技に出たそうです(笑)。これを「ペンキステッチ」と呼びます。 穿き込むとペンキが擦れて消えていってしまうのですが、その儚(はかな)さもヴィンテージ好きにはたまらないポイントなんだとか。

③ 余り物をかき集めた「ポケットの裏地(スレーキ)」
ポケットの内側の布(スレーキ)にも制限がかかりました。 「見えないところなんだから、余ってる布を使え!」ということで、チェック柄のネルシャツの切れ端や、オリーブ色の軍用生地など、その時工場に余っていた生地がランダムに使われたそうです。

そのため、同じ大戦モデルでも「ポケットの裏地が個体によって全然違う」という現象が起きたみたいです。偶然が生んだ一点モノ感、なんだかワクワクしますよね。
④ 徹底された「リベット」の省略
他にも、コインポケット(ウォッチポケット)の端を留めている「リベット」が省略されたりと、見えない部分での金属の節約も行われたそうです。
大戦モデルならではの、特徴的なシルエット
ディテールだけでなく、その 「シルエット」 も大戦モデルの大きな特徴になっているみたいです。調べてみたら、そこには3つの核心がありました。

- 股上の深さは「歴代屈指」
501の長い歴史の中でも、トップクラスに股上が深いそうです。おへそを覆うほどのハイウエストで、腰回りにしっかりとしたボリュームが出る。この「股上の深さ」が、数値以上の太さを感じさせる大きな要因なんだとか。 - 「中太」の武骨なストレート
後の1955年モデルのような「全体が四角いワイド」ではなく、あくまで 「ワークウェアらしい中太」。ヒップから太ももにかけてはゆとりがありますが、裾に向かってストンと真っ直ぐ落ちる無骨なラインが魅力です。 - 「アンバランスさ」が生む独特の佇まい
物資統制による簡略化の影響もあって、洗練されていない「荒削りな形」をしています。後ろポケットが大きかったり、縫製が少し粗かったりすることで、綺麗に整った形というよりは、どこか 「古臭くて土臭い」 独特のシルエットになるそうです。
この「太くてダボダボしている」だけじゃない、どこか洗練されていない「道具感」こそが、大戦モデルならではの味なんですね。
まとめ:不完全だからこそ愛おしい歴史の証人
正直なところ、調べる前の僕は「大戦モデルって、ただパーツを節約しただけの貧相なジーンズでしょ?」くらいに思っていて、全然惹かれていませんでした。
でも、それぞれのディテールの背景や、当時の工夫をこうして調べていくと……不思議なもので、なんだか少し興味が出てきちゃいました(笑)。 国からの制限で仕方なく簡略化して作られた妥協の産物が、今見ると「あの過酷な時代を生き抜くための工夫」が詰まった歴史の証人になっている。そのギャップが良いですよね。
そして、戦争が終わった後、「もう節約しなくていいぞ!」と本来のディテールを全盛りにして復活したのが、僕の愛用しているJELADO 301EXXのベースでもある 「1947年モデル」 です。 大戦モデルの極太シルエットを残しつつ、飾りステッチやオリジナルボタンが復活した「黄金期」のモデル。
大戦モデルの苦しい歴史を知ったことで、自分の301EXXの完成されたディテールが、よりありがたく、特別なものに感じられるようになりました。
「なぜここにこのパーツがあるのか?(あるいは、ないのか?)」 ジーンズの歴史って、本当に知れば知るほど面白いですね。 次に古着屋さんやショップに行くときは、ぜひ「ドーナツボタン」や「ペンキステッチ」を探してみてください!

