どうも、ユウヤマンです。
ジーンズを見ていると、ポケットまわりに小さな金属パーツが付いていますよね。
リベットと呼ばれるあのパーツですが、普段はそこまでじっくり見ることもなく、「ジーンズらしい見た目の一部」くらいに思っていました。
でも手持ちのジーンズを見比べてみると、ブランドによってリベットの形が少し違っていたり、表からは見えない場所に付いていたり、金属ではなく糸で補強されている部分があったりします。
さらに調べてみると、今ではあまり見かけない股リベットや、カンヌキ止めという縫製の補強も出てきて、思ったより奥が深い。
今回は、ジーンズのリベットとカンヌキを中心に、小さな補強ディテールの意味をざっくり調べつつ、手持ちのジーンズで見比べてみようと思います。
よく見ると、補強だらけのジーンズ
ジーンズが丈夫な服だというのは、なんとなく分かります。
でも改めて細かく見てみると、ただ厚手のデニムを使っているだけではなく、いろんな場所に補強のための工夫が入っていることに気づきます。
ポケットの端にはリベットが打たれていたり、ベルトループやポケット口には太いステッチが入っていたり。古い仕様や復刻モデルを見ていくと、表からは見えない隠しリベットや、股部分に付いたリベットまで出てきます。
普段はそこまで意識して見ない部分ですが、こうして一つずつ見ていくと、ジーンズってかなり細かく補強されているんですよね。
小さな金属パーツや縫い目にも、ちゃんと役割がある。そう思うと、いつも見ているジーンズの見え方が少し変わってきます。
そもそもリベットとは?
リベットは、布やパーツを留めたり、補強したりするために使われる金属パーツです。
ジーンズでよく見るのは、ポケットの端についている小さな丸い金属パーツ。手を入れたり、物を入れたりして負荷がかかりやすい場所に打たれています。

言われてみればたしかに、ポケットの角って引っ張られやすそうですよね。そこを金属でガチッと補強していると考えると、かなり分かりやすいディテールです。
今ではジーンズらしい見た目の一部として見ていますが、もともとは作業着としての強度を高めるための実用的なパーツ。
小さいですが、ジーンズらしさを作っているかなり大事な存在だと思います。
リベットは、ジーンズを強くするための補強だった
ジーンズのリベットは、もともと作業着としての強度を高めるために使われたディテールです。
しかもリベットは、ジーンズの歴史を語るうえでもかなり重要なパーツです。Levi Strauss & Co.とJacob Davisは、1873年にポケット口をリベットで補強する改良で特許を取得しています。
つまりジーンズは、ただデニム生地で作られたパンツというより、負荷がかかる場所を金属パーツで補強したワークパンツとして広まっていったわけです。
特にポケット口は、手を入れたり、道具を入れたり、しゃがんだときに引っ張られたりと、何かと負荷がかかりやすい場所。そこをリベットでガチッと補強することで、縫い目が裂けたり、ほつれたりしにくくしていたんですね。
今ではジーンズらしい見た目の一部として見ていますが、もともとは作業着としての強度を高めるための実用的なパーツ。
小さな金属パーツですが、ジーンズらしさを作っているかなり大事な存在だと思います。
隠しリベットとは?表から見えない補強の工夫
リベットはジーンズを丈夫にするための便利なパーツですが、金属である以上、別の問題もあったようです。
特にバックポケットのリベットは、座ったときに椅子や家具、車のシート、サドルなどに当たりやすい場所。補強としては優秀でも、むき出しの金属パーツがまわりのものを傷つけてしまうことがあったんですね。
そこで出てくるのが、隠しリベットです。
Levi Strauss & Co.では、1937年にバックポケットのリベットを表から見えないように隠す仕様へ変更しています。表から見ると普通のバックポケットですが、裏側を見るとリベットで補強されている。まさに「リベットの強さは残したいけど、表に出ていると傷をつけてしまう」という問題への工夫だったわけです。


しかも当時は、この変更を伝えるために「The Rivet’s Still There」という案内まで付けていたそうです。つまり、表から見えなくなったけど、リベットはちゃんと残っていますよ、というアピールですね。
ただ、隠したら完全解決というわけでもなかったようです。使い込んでデニムが摩耗すると、結局リベットが表に出てきてしまうことがあり、1966年にはバックポケットのリベット自体をなくして、バータックと呼ばれるステッチ補強に置き換えられました。
股リベットという、今ではあまり見かけないディテール
リベットと聞くと、ポケットまわりの金属パーツを思い浮かべますが、昔のジーンズには股部分にもリベットが付いていたものがあります。
これが、いわゆる股リベット(クロッチリベット)です。
股の部分は、生地が重なっていて、座ったりしゃがんだりしたときにも負荷がかかりやすい場所。そこを補強するためにリベットが使われていたと考えると、理屈としては分かりやすいです。



ただ、今のジーンズではあまり見かけないディテールでもあります。
調べてみると、股リベットについては「焚き火の熱でリベットが熱くなって大変だった」という逸話も出てきます。一方で、Levi’sの公式資料で確認できる範囲では、第二次世界大戦中の物資節約の流れで、股リベットやウォッチポケットのリベットなどが省略されたとされています。
手持ちのジーンズで見比べてみても、股リベットがあるものと、ないものでは印象が少し違います。普段はほとんど気にしない場所ですが、こういう細かい違いを見ると、ジーンズの仕様変更って意外と面白いですね。
カンヌキとは?糸でガチッと補強する止め縫い
リベットが金属パーツで補強するディテールだとしたら、カンヌキは糸で補強するディテールです。
正確にはカンヌキ止め、またはバータックとも呼ばれる縫製で、力がかかりやすい部分を太いステッチでガチッと縫い留める補強のこと。
ジーンズだと、ポケット口やベルトループの端などでよく見かけます。普段はそこまで意識しないかもしれませんが、よく見ると、普通の縫い目とは違って、短い範囲に糸がぎゅっと密集している部分があります。


ちなみに「カンヌキ」は、漢字で書くと閂。もともとは門や戸を閉じるために横に通す棒のことです。縫製のカンヌキ止めも、力がかかる部分をしっかり留めるものなので、名前のイメージとしてはかなり分かりやすいですね。
リベットのような金属の無骨さはありませんが、糸で補強するカンヌキにも、ちゃんとワークウェアらしい実用性があります。
手持ちのジーンズで見比べてみる
ここまでリベットやカンヌキについてざっくり見てきましたが、実際に手持ちのジーンズを見比べてみると、ブランドや仕様によってけっこう違いがあります。
同じようにポケットまわりを補強するためのパーツでも、リベットの形が違っていたり、表に出ていなかったり、金属ではなくステッチで補強されていたり。
せっかくなので、手元にあるLevi’s、Lee、Wranglerを見ながら、小さな補強ディテールを比べてみます。
Levi’sの突起があるリベット
まずはLevi’s。

手元のLevi’sを見ると、ポケット端のリベットには中央に少し突起があります。ジーンズのリベットと聞いて、個人的にまず思い浮かぶのはこの形かもしれません。
小さなパーツですが、金属の存在感がしっかりあって、いかにも「補強されています」という雰囲気があります。
リベットの歴史を知ったあとに見ると、この小さな金属パーツがジーンズらしさを作っている感じがして面白いです。
Leeの平たく処理されたリベット
続いてLee。

手元のLeeを見てみると、Levi’sのリベットとは少し印象が違います。中央の突起が平たく処理されているリベットでした。
ちなみに、バックポケット側も見てみると、フロントのポケットまわりにはリベットが使われている一方で、お尻側のポケットはカンヌキ止めで補強されていました。

同じジーンズの中でも、場所によって金属で補強していたり、糸で補強していたりするんですね。
もちろん、手元の個体を見た範囲での話ですが、リベットひとつ、カンヌキひとつ取っても、ブランドや仕様によって表情が違うんだなと感じます。
Wranglerのつるっとしたリベット
最後にWrangler。

手元のWranglerは、さらにリベットの表面がつるっとしています。
Wranglerは、1947年にハリウッドの西部劇衣装デザイナーだったRodeo Benが関わって生まれた、カウボーイ向けのウエスタンジーンズとして知られています。当時は作業着としてのイメージが強かったジーンズにファッション性を取り入れた、世界初のデザイナーズデニムとも言われています。
そう考えると、このつるっとしたリベットも、サドルを傷つけにくいという実用性だけでなく、見た目のスマートさにも気を使っているように見えてきます。
Levi’sやLeeのリベットと見比べると、同じ補強パーツでもかなり印象が違います。小さな部分ですが、Wranglerらしいかっこよさが出ていて面白いです。
まとめ
今回は、ジーンズのリベットとカンヌキを中心に、小さな補強ディテールについてざっくり調べてみました。
リベットは、ポケットまわりなど負荷がかかりやすい部分を金属で補強するためのパーツ。カンヌキ止めは、同じように力がかかる部分を糸でガチッと縫い留める補強です。
さらに見ていくと、表から見えない隠しリベットや、今ではあまり見かけない股リベットなど、ジーンズには思った以上に細かい工夫が詰まっていました。
手持ちのLevi’s、Lee、Wranglerを見比べてみても、リベットの形や補強の仕方に違いがあって、ブランドごとの表情が出ているのが面白いところ。
普段は見落としがちな小さなパーツですが、意味を知ると、いつものジーンズを眺める楽しみが少し増えますね。

